これ以上話を訊きたくなくて遮った
どんな理由も事実は変わらない
言い訳にしかきこえないなら
これ以上何を訊いても心は動かない

「ならばもう、何も意味は成さない」

私は耳を塞ぎ、君は口を噤む
パタリと閉まる扉
二人の扉は、静かに閉ざされた

窓の外、雨音が静かに響く
君の影は揺れ、言葉は届かず
私はただ、息を潜める
言葉にならない想いが、部屋に満ちていく

扉の向こう側で、君もまた迷っている
届かない沈黙の中で
小さな光が、二人の間に揺れる

私の耳に残るのは、君の沈黙
口を噤んだままの君の心の音
もしかしたら、そこには後悔があるのかもしれない
それとも、もう何も感じないのかもしれない

君の影が少し揺れた気がした
私もまた、心の奥で揺れている
言葉にしなくても、互いの気配は確かに存在している
閉ざされた扉の向こうで、二人の世界は静かに共鳴している

次の朝、光がほんの少し差し込む
扉の向こうから、かすかな物音
私は手を止め、息を潜める
そして、君も同じように動きを止める

扉がゆっくりと開く音
互いの目が、ほんの一瞬、交わる
言葉はなくても、伝わるものがある
沈黙の中に、わずかな温もりが流れ込む

閉ざされた時間の余韻はまだ残る
でも、今は確かに、二人の世界が少しだけつながった

扉が完全に開くと、部屋の空気が少し軽くなる
君は小さく息を吐き、私は微かに頷く
言葉はまだ少ないけれど、視線だけで通じ合える

「…昨日は、言い過ぎたかもしれない」
君の声は小さく、でも確かに届く
私は目を閉じて、胸の奥の緊張をほどく
「ううん、私も…」
言い訳ではなく、ただの事実として互いを認める言葉

時間はゆっくり流れ、沈黙もまた優しくなる
笑顔はまだぎこちないけれど、二人の距離は確かに近づいた
閉ざされていた心の扉が、少しずつ、静かに開き始める

 
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