第五章:「信じたい、でも怖い」

鉄壁は崩壊してしまった
あの人はいとも簡単に壊してしまった
外部の刺激から必死に守ってきた心は無防備に晒されて
怖い怖いと震え、寂しい寂しいと泣気、寒い寒いと凍え

あの人は、そんな私を拾い上げ優しく包み込む
大丈夫だよ、怖くないよ、一人じゃないよ、暖めてあげるからね
無我夢中で差し伸べられた手を掴み、守って守ってと縋りつく

あの人はいつも優しく微笑みかけてくれる
だから段々とあの人に近づきたくなって私から踏み込んだ
あの人の懐は深くて柔らかいのに、時折私を拒絶した
不安で泣きそうになると誤魔化した優しさで私を包む

分からない、何を考えてるのか見えない
気まぐれの優しさなら、そんなものは欲しくない
その場凌ぎの同情ならば、惨めになるだけだから

原石にもなれない私を、どうか遠くに放ってくれませんか

そう思うのに、また私の隙間に入り込んでくるのを受け入れてしまう

信じてもいいのだろうか、あの人を
傷付かないだろうか、あの人に

あの人を信じたら何かが変わると確信しているのに、私は足を踏み出せない