男性視点

俺はいつも勝手だった。
自分の都合でいつもあいつを悩ませた。
泣きながら別れを告げたあいつ。
言わせたのは他ならぬ俺だった。
伝えたいことだってあったはずなのに。
あいつの涙のわけを知っていた俺には返す言葉はなかった。
「わかった」とだけ告げたあの日。
本当は涙も別れを告げる口もいやだった。
そんな思いのまま連絡もせず月日が過ぎて
最近やっと俺なりのけじめがついた。
あの日言えなかった「ごめん」と俺の思い。
どうしても聴いて欲しい。あいつに。

断腸の思いで電話を握る。
・・・電話番号変えていたらどうしよう。
・・・着信拒否されてたら?
色々な不安材料が俺の手を何度も止めた。
今までも何度か電話を握ったがこんなに悩んだのは初めてだった。
意を決して通話を押す。
・・・コールはする。第一段階クリアーだ。
・・・出ない。
昔は時間なんて気にせずにこっちの都合でかけていた電話。
いつもあわてて電話にでるあいつの声が好きだった。

「全然平気!起きてたよ!!大丈夫!」

あいつの出たときの挨拶とも言える言葉。
当たり前だと思っていた自分に恥さえ感じる今。

ふっとコールが止まる。

「・・・こちらは留守番電話サービスセンターです・・・」

留守電か・・・。
寝てるのか。・・・時間は2時。
考えても出ないならしょうがない。
いつもなら残さない留守電のメッセージ。
残したら聞いてくれるだろうか。
こんな俺にも連絡をくれるだろうか。
不安よりも伝えなければならない気持ちが勝っていた。

「・・・あ、○○だけど覚えてるかな?こんな時間にゴメン。」

思わず声が上ずってしまう。

「・・・もし良かったら電話下さい。」

伝えたい言葉と思いがあるんだ。
どうか連絡してほしい。
終わっているはずの気持ちもすべて今なら受け入れるから。
どうか聞かせて、おまえの声。

男性視点 著者:夜陽様 HP「PARADOX Plus