男性視点(原作)

キミが急にボクの家に泊まりに来たのは驚きだった。
まさかボクのところへ来るとは思ってなかったんだ。
最初は冗談だったのに。
電話で「ならボクの家においでよ。」って言ったらキミは
「うん、行く。XXまで迎えに着てね。」と言った。
まさか本当に来てくれるなんて思いもしなかった。
キミに他意が無くても良かった。
ただ、なんとなくでも良かった。
ボクのところをたまたまでも選んでくれたことがすごく嬉しかったから。
キミのために押入れに押し込めていた簡易ベッドまで出してきた。
なのにキミは「いいよ、ソファーで寝る。その方が楽だから。」と断った。
そう言ってすぐにキミは横になった。
ボクはドキドキして眠れなかった。
ソファーに横になってから1時間くらいしたら寝息が聞こえてきた。
それが気になってボクはまた眠れなくなったんだ。
でも気づいたらボクも寝てしまったみたいだった。
目を覚ますと鳥が鳴いていた。
ふとソファーに目をやるとまだキミは寝ている。
朝6時半に起きたいと言っていたのにまだ起きてない。
今は6時40分。
ソーッとソファーの近くまで言って小さな声で
「おはよう、朝だよ。」と言った。
でもキミは「んー・・・」っといってまた寝てしまった。
昔聴いたことがあった、キミは朝すごく弱いって。
ボクはもっと近くに寄ってさっきより大きめの声で起こしてみる。
でもキミは起きない。
・・・ふと、顔の上にあった腕が動いて顔が見える。
初めて見た好きな人の寝顔。
なんだか心のどこかがじぃんとする。

「起きなきゃ・・・出かけるんでしょう?」

「うん・・・?」

寝ぼけているキミは目も開けずに質問に答えようとしていた。
肩をゆすって起こそうと試みたが、しかめっ面になるだけで起きない。
・・・ボクの中に衝動が起こる。
ボクの好きな子が目の前で、しかもボクの部屋で寝ている。
こんなにも無防備に。
恐る恐る、慎重にキミのおでこに手を当てた。

「・・・起きないの?」

大人になってからなかった感情が沸く、子供のころみたいにドキドキしてた。
声を掛けながらおでこからほっぺの方に手を伸ばす。
その瞬間不意にいきなりボクの手を握られて慌ててしまい、動けなくなった。
ボクの考えとは裏腹にその手はボクの手をきゅぅっと握ったまま離さない。
でも起きる気配もない。
その時の顔を見たボクは理性を失った。
ボクの手を握ったキミは寝てるはずなのに嬉しそうに微笑んでいた。
抑えていたものが溢れ出す。
もう何も考えずにキミを抱きしめた。
それでも遠慮がちに。
抵抗される、と思ったのにキミはボクの後ろ頭を優しく撫でてくれた。
・・・寝ているのに・・・誰かと間違ってるのかな・・・
なんだか勘違いでもいい、間違われててもいいと思った。
愛しくてしょうがなかった。
思わず声が洩れた、キミの名前を呼んでしまった。

「・・・XXX・・・」

でもキミの名前を何回もつぶやきながら抱きしめた手を離せなくなってた。

「・・・XXX、聞こえてる?・・・起きてる・・・?」

ボクの切ない声が聞こえたのかキミは

「んん・・・?YYY・・・?」

ボクの名前を言ったと思ったらまた眠りに付く。
でも名前を呼ばれたときからボクにはもう理性が無かったのかもしれない。
眠りについたあとにキミの顔を見た時、ボクは愛しさに勝てなかった。
抱きしめてた手を少しだけ緩めて、ボクはこっそりキミにキスしたんだ。
・・・1度だけ。
キミは眠ってて気づいてなかった。
1度だけキスをしてまたボクはキミを抱きしめた。
ボクしか知らない空白の10分だった。
そのあとキミは予定の時間を過ぎてると慌てて帰ってしまった。

それからキミとは会ってない。
ボクのこと、覚えてくれてるのかな。
ボクはたぶん一生忘れない。あの時の熱情はボクだけのものだから。

(原作)男性視点 著者:夜陽様 HP「PARADOX Plus